一般的な住宅用のカーポートは1台分の駐車に対応していることが基本ですが、複数台の駐車に対応できるタイプもあります。縦列駐車用カーポートは複数台対応可能なカーポートの種類のひとつです。 今回は、そんな縦列駐車用カーポートを設置する際に注意すべきポイントや、縦列駐車用カーポートを選ぶ際に重視すべき部分についてご説明します。
長い形状の縦列駐車用カーポート設置時は柱・勾配・道路境界線などに注意!
縦列駐車用カーポートの、一般的なカーポートとの最大の違いは、縦に複数台の駐車ができる長い形状であるということです。「たて連棟タイプ」とも呼ばれます。1台用の一般的なカーポートだけでなく、横に並べて複数台駐車できる並列駐車用のカーポートと比べても形状はかなり異なります。 縦列駐車用のカーポートを設置する際は、以下の5つのポイントを知っておかなければなりません。それぞれについて詳しくみていきましょう。 1.道路側に駐車スペースがある場合には柱を建物側につける 2.勾配も計算したうえで安心できる高さを選ぶ 3.カーポートの屋根が道路境界線を越えないようにする 4.水道管やガス管などの配管位置をカーポート設置前に確認しておく 5.カーポートの屋根から落ちる雨や雪で隣家に迷惑をかけないよう配慮する ・1. 道路側に駐車スペースがある場合には柱を建物側につける 縦列駐車用のカーポート設置スペースが道路側に面する状況となる場合は、カーポートの柱を建物側にするというのが鉄則です。道路側に柱をつけてしまうと、この柱が邪魔で道路側への車の出入りができなくなってしまいますのでくれぐれも注意しましょう。 ・2. 勾配も計算したうえで安心できる高さを選ぶ 縦列駐車用のカーポートは2台用でも長さが10m前後となるため、勾配の影響を大きく受けるという点も注意が必要です。 斜面地にカーポートを設置する際、カーポートは地面に平行に設置されるのではなく、あくまで「水平設置」となります。このため、ほんの数%の勾配がついているだけでも、縦列駐車用カーポートの手前と奥とでカーポートの高さが大きく異なってしまいます。 5~6%程度の勾配でも、長さ10mのカーポートなら手前と奥とでは50~60cmもの高低差が生じます。カーポートの高さはもっとも地面が低いところを基準として設置されます。 たとえば、「このカーポートは高さが2.3mあるから大丈夫だろう」と思っていても、勾配が5~6%あると、もっとも地面が高くなっている部分のカーポートの高さは1.7~1.8mになってしまう、ということです。 勾配をしっかりと調べ、余裕のある高さで設置するよう心がけましょう。 ・3. カーポートの屋根が道路境界線を越えないようにする 「カーポートの屋根なら少しくらい道路にはみ出ても問題ないだろう」と考える人もいますが、これは建築基準法違反となるので絶対にやってはいけません。 道路境界線を越えてしまうと、道路の管理者から撤去命令が出され、費用面で多額の損失を出してしまうリスクもあります。 ・4. 水道管やガス管などの配管位置をカーポート設置前に確認しておく 縦列駐車用カーポートは奥行きが長い分、設置場所の下に水道管やガス管などの配管が走っているというケースも少なくありません。 カーポートの柱を立てるには配管から少なくとも50cmは離れていないと基礎が作れませんし、柱・基礎を優先して配管を切って別のところに走らせようとしても、それには多額の費用がかかります。そうした出費を避けるためには事前に配管の位置を確認し、そこを避けての設置を検討するのが正解です。 ・5. カーポートの屋根から落ちる雨や雪で隣家に迷惑をかけないよう配慮する 縦列駐車用のカーポートの屋根は縦に長い分面積も広いため、その屋根から落ちる雨や雪が隣家の敷地に入ると多大な迷惑をかけてしまいます。雨や雪は自分の敷地内に落ちるようにする配慮が必要です。